5/1-5/15 HIT CHART
1. よしむらひらく / Setagaya Wandering Education
岸田佳也(ドラム)とほぼ二人で製作されたというCD-R。メロディセンス、アレンジの練られ方ともに、すわ、若きポップ・マエストロの誕生か!?ともろ手を挙げて歓迎したいところですが、その「ポップ」に色濃く影を落とすいびつさが曲者。
シンガーソングライターとして自己表現を誠実に果たすことと、音楽家として純粋な音楽性を追求すること、そのどちらとも向きあいながら到達した、「よしむらひらく」というクリエイターにとって現時点での最高傑作であることに間違いはないでしょう(これで500円!!)。茶封筒で作られたジャケットから取りだし、歌詞カードを読みながら、あるいはホームページの特設コーナーに掲載されている解説や写真とあわせて聴いてみてください。ゲストキーボードにカメダタク(オワリカラ)が参加。
2. シャムキャッツ / BGM
「なんでもないところで演奏したい」という衝動を引きずりながら場所を探し、ついに荒川の河川敷での演奏が実現するまでを追った脱力ドキュメンタリー。マジックアワーに奏でられるシャムキャッツは素敵としか言いようがない!!同年11月8日、乍東十四雄とのスプリット・ツアーで訪れた名古屋鶴舞K.Dハポンでのライブ映像も収録。監督、エリザベス宮地。
3. ゑでぃまぁこん / あのこが小鳥と話すとき
2008年に稲田誠氏の手で録音されていた音源が、長い熟成期間を経てついに世に出ました。去年くらいからずっと、ギューンのオーナー須原さんから「出すでー」と言われていたのですが…ずいぶん待たされた、そして待った甲斐のある素晴らしい出来です。
パーソネルは当然、鉄壁の布陣。ゑでぃ鼓雨磨(うた、ガットギター、ピアノ)/ 柔流まぁこん(ベース)/ 水谷ベルサモ康久(フルート、サックス、ハーモニカ他)/ 楯川陽二郎(ドラム)/ 稲田誠(コントラバス)。これで悪い音源が作れるはずもないのですが、あたたかな声と演奏がアナログレコードの音質に見事に閉じ込められていて、聴けば聴くたび、これは!と思わされますアートワークはTest Patternでもおなじみの折り紙ユニットcochae。折り紙こそ使っていませんが、非常に愛らしい猫のデザインが素敵です。
4. ファズピックス / hi-color Exhibition
ファズピックス・2009年のシングルが入荷!!伸びやかで優しさを含んだボーカルとドライヴするギターサウンドの絡み合いがが、ノイジーでありながらも徹底してファンタジック!!
たとえ4つ打ちの曲であっても、ダンスミュージックに寄せるのではなく、あくまで「ロック」のフォーマットの中で冒険をしようとする気持ちが音にも表れていて、とても清々しい気分。ときに「ロックの荒野」とも呼ばれるほどの危険な街・北九州で純粋培養されたファズピックスの面目が大躍如する一枚です。
5. よしむらひらく / 春
よしむらひらく初の全国流通盤。まずは人気曲「春」をシングルカット。このひとの音楽については、これまでのレビューでもさんざん語ってきたように思いますので、この200円シングルでいまさらに何かを言うことはやめようと思いますが・・・
とにかく、この曲はタイトルも、歌詞も、メロディも、声も、秀逸です。多くの若者が(すくなくとも古いタイプの若者ならば)通過しなくてはならない儀礼のような空気を、見事に凝縮した歌。
6. 撃鉄 / Gekitetsu 1
カキンカキンのノーウェーヴ・サウンドの上を、人間力を過剰に積載したボーカルが飛んでゆく。FUJI ROCK 2009、ROOKIE A GO GOのステージで、昇ってはいけないところ(アトラクション)までよじ登ろうとし、スタッフからめちゃくちゃ怒られた、というエピソードも「あー、なるほど」と思わせてくれる、どこを切ってもエナジーの高さが溢れだしてくる曲・演奏です。東京では精力的・爆発的な数のライブをこなしているものの、地方遠征はまだそれほどの経験がない彼等。ライブ会場での衝撃をお部屋でもぜひ!!
7. 福原希己江 / S.T.
「青椒肉絲」のうたから始まる、完全ギター弾き語りの音源。生まれた町の想い出、「ねこまんま」への愛情、そして友達への優しい語りかけと、4曲どれもが歌い手の人柄を等身大に写しながらとても美しく心地よく響いてきます。
音楽のたのしさと日本語の味わい深さを味わいたいなら、まっさきにおすすめの一枚!鳥獣虫魚からの作品「のろのらのらねこ」とあわせてぜひ。
8. うつくしきひかり / S.T.
ザ・なつやすみバンドの中川理沙さん+片想いのMC.sirafu。なつやすみバンドでもこの二人のコンビは聴くことが出来ますが、デュオ編成で抽出された「うつくしきひかり」は、なつやすみバンドのポップネスとは違った、シンプルな輝きに満ちています。
イノセントな歌声の周囲を飛び交うスティールパンとピアノ。音色もリズムもやわらかく、きらきらと輝きながら流れるような、まさにジャケの写真がぴったりの印象!!何度でもリピートしたくなる3曲入りです。
9. 洞 / まぼろし
深いエコーの森からたち現れる「うた」。洋邦のあたらしい音楽の潮流を踏まえながら、日本語で「自分たちの周囲を歌う」ことを大事にしている彼らの姿勢がぼんやりと浮かび上がってきます。
先輩格のミュージシャンや友人たちと同様に、日々流れる和製エモ/ポストハードコア/インディへの愛情を抱き、また長野ネオンホールで育まれてきたフォークミュージックにもその根を下ろしている―幅広い音楽性とそれを等身大の自分たちへ還元する力をもったバンド「洞」の魅力がぐっと詰まった。11曲入り。これで850円!!
10.倉林哲也 / デモンストレーション
トクマルシューゴ氏も絶賛した1stアルバム『茶虎食堂』の次となる、倉林さん10年作。今回は全曲歌もの!!味わい深い(すこしとぼけた)歌、アコースティックギター、そしてチェロ、リコーダー、フルートを駆使し、隙間に色を入れてゆく絵画のような演奏が沁みます。
片想いのMCシラフ氏の家にて録音され、もちろんシラフ氏もスティールパンで参加。武蔵野の午後のひだまりがそのまま音楽になったかのような音はやっぱり素晴らしい!
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よしむらひらく君のCD-Rは、在庫僅少です。「春」が全国的に話題となる中で、さかのぼって聴きたいと思う人がたくさん居てくれるのは、きっとミュージシャンにとってもしあわせなことだと思います。
個人的に大注目なのは福原希己江さんの完全自主制作盤、そして、うつくしきひかりの初音源。ほんとうの意味で日常の中から生まれてくる音楽とは、きっとこういうものなのかもしれないなあと思いました。