2011年10月のチャート

10月のチャート上ではやはり、うたもの作品が強かったように見受けられますが、先月は次点以下も活況を呈しました。とくにSTRICTLY ROCERSシリーズやBLACK SMOKERなど、当店の定番MIXがまんべんなく動いたように思えます。


テレビ番組「深夜食堂2」で福原希己江さんの音楽が使用されたのをきっかけに、当店にも問い合わせが殺到し、てんてこまいだったのですが、面白かったのは彼女の「のろのら〜」と一緒に永田一直さん、根本敬さん、そしてECDのMIXを買ってくださる方がいらっしゃったこと。京都にぼく一人が戻ってきてそろそろ2年が経とうとしていますが、面白いクロスオーヴァー・センスを持ってお買い物をしてくださる雑食なお客さんとたくさん出会うようになりました。顔を合わせることのないオンラインストアでも、なんとなく(勝手に?)コミュニケーションが取れたような気がして悦に入っている今日この頃です。


その「のろのらのらねこ」は、入荷以来すこしずつロングセールを続けており、
どちらかというとマイペースに歌い、でも着実に広がってゆくという印象が強かった福原さんですが、
このYOUTUBEの再生回数を見ると、もうそんなことは言っていられなくなったようです。

再入荷目前ですが、きっと店着したその日から発送に追われるようになるんだろうなーと戦々恐々としつつ、
なんにせよ、素晴らしい音楽が広がるのはいいこと!テレビの中から聴こえてきた音楽が、新しい体験へ繋がってゆく場所となるように、サンレインも頑張ります。


1位 福原希己江 / のろのらのらねこ
http://www.sunrain-records.com/catalog-2885.html

東京・八丁堀のアート/ミュージックスペース「七針」が主宰するレ―ベル「鳥獣虫魚」より、シンガーソングライター福原希己江のCD-R。2010年春、七針でのライブを林谷英昭(マリア・ハト)と王舟が録音、さらにマスタリングを王舟がほどこし、完成されたというこの作品、とにかく名演!シンプルなギター弾き語りが実にすがすがしく、まぶしく、自然と涙がこぼれそうになります。この清冽さは金延幸子さんや浜田真理子さんの歌にも通じるはず(この音源はもうちょっと親密で、ひっそりとした感じがしますが、それがまたよい!)。七針に行けばこの人の歌をライブで聴けるのだ…と思うと、すこし東京のひとが羨ましいです(笑)。近日入荷!!


2位 ゆーきゃん / ロータリー・ソングズ
http://www.sunrain-records.com/catalog-3453.html

ゆーきゃん、4年ぶりの流通盤、ソロアルバムとしては実に7年ぶりのリリース。音楽評論家・高橋健太郎氏の家が取り壊しになる数日前に録音され、ひっそりと眠っていた音源に、田代貴之(bass)、エマーソン北村(key)、見汐麻衣(cho)、そして高橋さんご本人(guitar,etc...)と、ゲストプレイヤーの見事な力添えを得て出来上がった5曲に、ホーム・京都UrBANGUILDでのライブを収録した全6曲入り。アートワークは京都在住の画家・足田メロウ氏。かねてから親交のあるトラックメーカー・FRAGMENT主宰の術ノ穴よりりリースです。


3位 cero / 武蔵野クルーズエキゾチカ
http://www.sunrain-records.com/catalog-3454.html

ファースト・アルバムには未収録、ライブでは既に話題沸騰の名曲が遂に7インチ・シングル化。ロディといい音楽的なアイディアといいい、ミラクル感ばしばしの名曲・名演・名リリックは、どうしてアルバムに入れなかったのか、耳を疑ってしまうほど!カップリングのcero流シティッポップスも流石の出来栄え、オススメしなくてもこれは即完売だろうなあ…MP3ダウンロード・コード付き。売り切れました!若干キャンセル分が戻ってくる予定、出張サンレイン等の際はぜひチェックしてください。


4位 埋火 / ジオラマ
http://www.sunrain-records.com/catalog-3438.html

埋火、待望のセカンド。静けさと微熱の中で揺らぐ歌と音像たち、いつまでもそばに置いておきたくなる大傑作です。レビューページにならんだ推薦コメントにぼく自身も寄稿していますので、それ以上のレビューは控えさせていただきます。が、名盤「わたしのふね」からさらに飛躍を遂げた一枚は、きっと長く愛される一枚になること間違いありません。すべての「うたもの」ファンに、ぜひ聴いていただきたく思います!


5位 ゑでぃまぁこん / 魚小屋にて喉ならす
http://www.sunrain-records.com/catalog-3365.html

ゑでぃまぁこん、2011年7月名古屋k.d.japonでのライブを収録した新作CD-Rが入荷。k.d.japonのやわらかな響きをそっくり盤面に流し込んだような空気感!!ゑでぃさんの歌の素晴らしさはもちろん、まぁこん〜楯川さんのリズム隊のおふたりも、水谷さんのサックス/フルートも、元山さんのスチールギターも、朝倉さんのコーラスも、全部がこんなにも控えめで、かつ絶対的に必然な、あの感じ。ぜひとも体験してください。


6位 ジョセフ・アルフ・ポルカ / 空からやってきた緑の三本指
http://www.sunrain-records.com/catalog-3448.html

これは良いバンドに出会いました!最近のUSインディ・バンドっぽいアプローチもありつつ、名コンピ『7586』などに抽出された名古屋アンダーグラウンドの空気を自然とまとっていたり、aotoao(主宰はasunaさん)周辺の脱力かつ鋭角なトイ・ポップにも共通する匂いを感じたり…この幅の広い音楽性と、自分たちの遊びをエンターテイメントに変えるポップさは、サンレインでもお馴染みのceroシャムキャッツ、とんちレコードやこれレコードのバンド達といった、今が旬の東京シーンとも確実に呼応しているのではないでしょうか。名古屋のみならずいろんな場所でライブをされているので、もうご存知の方もいらっしゃると思うのですが、今後も要注目のバンドですね。


7位 野村和孝 / Arete School of Patternalization
http://www.sunrain-records.com/catalog-3433.html

旭川〜シアトルを繋ぐワールド・スタンダードなSSW・野村和孝によるツアー限定CDRを委託していただきました。ご本人の解説・コード譜・歌詞を同封した限定199枚!!このひとは、ただ「英語だから」という次元を越えて、ギターも歌もあのシアトル周辺のオルタナ・フォークの流れを、表面から水底まで見事に呑みこんで消化しているように思えます。ほんのちょっとの味付けに加えた音響のセンスや、これは絶対アソビだろうー?と分かるのに、結局はちゃんと聴かせてしまう音楽力。素晴らしい。


8位 王舟 / Thailand
http://www.sunrain-records.com/catalog-2947.html

冒頭のノイズ混じりのイントロから、何事かが起こるに違いないという予感を抱きながら聴き始めると、その先にはKIP HANRAHAN、Jim O'Rourke、青柳拓次といった音楽家たちにも連なる、アメリカーナ的な、乾いた祝祭の空気が広がっている。mmmのフルート、フジワラサトシのギター、oono yuukiのトランペットなど、ホームグラウンドである八丁堀・七針で出会った音楽仲間たちが"王舟"というメロディを増幅させ、インスト曲においても、もちろんボーカル曲においても、瑞々しさと大きなスケールを同時にあたえながら「うた」を鳴り響かせています。これはひとりのSSWの作品であると共に、素晴らしい人選で完璧なまでに編み上げられたプロジェクト・ワークであるとも言えるでしょう。


9位 鳴海徹朗 / 美しい叫び
http://www.sunrain-records.com/catalog-3298.html

谷川健一さんから「弘前にいい歌うたいがおんねんけど…」と紹介していただいたのが、この鳴海徹朗氏。すこし翳りのある透き通った声、独白と祈りのあわいを行き来する詩、控えめながらも濃密と言っていいほど丁寧に紡がれるギター、シンプルな「弾き語り」というフォーマットの滋味を余すことなく詰め込んだ6曲入りCD-Rです。その完成度に「どうしてこんなひとが、"知る人ぞ知る"ようにひっそりと活動を続けているのだろう?」と思う反面、おそらくこの町の風土や気候、ひととのかかわりの中で必然的に根を張り育ってきた「うた」だからこそ、これほどの説得力を持ちえているのだろうと、分かる気もします(かく言うぼくも弘前という町を訪れたことは未だないのですが…)。いずれにせよ、胸に響く「歌」を求める耳には届いて欲しい。WATER WATER CAMEL〜Gohfishそして長谷川健一あたりが好きなひとにはマストだと思います!!100枚限定のハンドメイド(しかもすごく丁寧)作品。お早めにどうぞー。


10位 根本敬 / 愛駅
http://www.sunrain-records.com/catalog-3367.html
湯浅学船橋英雄の両氏とともに「名盤解放同盟」を結んでも入る特殊漫画家・根本敬さんが、なんとBLACK SMOKER からMIXCDを投下!!和モノ〜コリアン・ロック/レアグルーヴを軸にした流れの中に、そしてTVやラジオから抽出したのアナウンスやインタビュー、効果音などをちりばめた、超オリジナルなMIX。ファニーなのにどこかいなせで、なぜかホロリとしたりもしながら、病みつきになること間違いなし。サンレインでも人気の、ECD〜永田一直〜MU-STARS等の和モノラインナップ、そしてyudayajazzやL?K?Oがぶっ放す次元脱臼MIX、そのどちらにも通じて、何処へでも行ける(そして戻ってこれない!)この「根本ワールド」とくとご堪能あれ!!


次点 Shhhhh / Sol de Medianoche
http://www.sunrain-records.com/catalog-3421.html
マージナル&サイケデリック発掘師・Shhhhhの新作がブラックスモーカーよりDROP!!東高円寺の魔窟・GRASSROOTSを根城に奇想天外な音を放出し続けるDJ Shhhhh。ワールドミュージックへの深い造詣に加えて、電子音楽から室内楽の領域まで自在に闊歩しながら、独自の世界を紡いでゆく奇想天外な想像力/想像力。この素晴らしき音物語の中では、いとも簡単に「?」が「!」に変わります。なんとも奇妙なねじれが心地よい、まさに黒煙系のマージナルMIX。ジャケとの世界観の調和が見事!!


あと、私事で恐縮ですが、10月12日に3枚目のアルバム「ロータリー・ソングズ」が出ました。
トラックメーカー・FRAGMENT主宰の全方位対応グッド・ミュージック・ファクトリー、術ノ穴からのリリースです。
かねてから、レコードストア管理人であることと、シンガーソングライターであること、そして一人のリスナーであること、その三つ巴の関係は切っても切れず、全部を高めてゆくことが全部のためになり、そしてぼくに出来ることの質につながってゆくのだと思ってきました。色々と癖のある音楽ですが、お見知りおき頂けると幸いです。