チャート 11/1-11/15

また遅れてしまいましたが、今月前半のチャートです。

谷川健一のライブ盤、Daniel KwonのCD-R、Danro、ゑでぃまぁこんの新作が初チャートイン。どれも歌の力を感じられる傑作ばかりです。

なかでも、Danielさんは、あまりに素晴らしかったので、思わず年末に京都で企画しているイベントに誘ってしまった(彼は東京・西荻窪在住です)ほど。収録曲ではありませんが、YOUTUBEにはライブ映像もたくさん上がっています。


これは七針での演奏。


あと、いまさら言うまでもない気もしますが、ゑでぃまぁこんの『残光の虫』は、国内のインディうたもの好きはぜったいに抑えておいたほうがいいです。この人たちの、派手さはないけれど、まるで霧が体の外側から中にしみ込んでくるように音を"聴かせる"る魅力
は、ちょっと他に類を見ないと思っているのです。


1.福原希己江 / のろのらのらねこ
http://www.sunrain-records.com/catalog-2885.html
2010年春、七針にて、店主であり鳥獣虫魚のオーナでもある林谷氏と、SSW王舟によって録音された音源(1ビットレコーダーでの一発録りだそうです)さらにマスタリングを王舟がほどこし、完成されたというこの作品、とにかく名演!シンプルなギター弾き語りが実にすがすがしく、まぶしく、自然と涙がこぼれそうになります。この清冽さは金延幸子さんや浜田真理子さんの歌にも通じるはず(この音源はもうちょっと親密で、ひっそりとした感じがしますが、それがまたよい!)。七針に行けばこの人の歌をライブで聴けるのだ…と思うと、すこし東京のひとが羨ましいです(笑)。


2.長谷川健一 / 20100516 live at UrBANGUILD
http://www.sunrain-records.com/catalog-3479.html
タイトルの通り、2010年5月16日、京都UrBANGUILDでのワンマンライブからセレクトした18曲。比較的新しい曲〜定番曲が中心のDISC1、昔の曲やワンマンならではの曲が多めのDISC2と、なんとも豪華な2枚組。UrBANGUILD特有の音響は、ハセケンの歌と呼応してまるで聖堂のように聴こえてきます。事情によりこれまでライブ会場でしか販売されていなかった作品、満を持してサンレインでも取り扱い開始です!!


3.埋火 / ジオラマ
http://www.sunrain-records.com/catalog-3438.html
埋火、待望のセカンド。静けさと微熱の中で揺らぐ歌と音像たち、いつまでもそばに置いておきたくなる大傑作です。 推薦コメントにぼく自身も寄稿していますので、それ以上のレビューは控えさせていただきます。が、名盤「わたしのふね」からさらに飛躍を遂げた一枚は、きっと長く愛される一枚になること間違いありません。すべての「うたもの」ファンに、ぜひ聴いていただきたく思います!


4.ゆーきゃん / ロータリー・ソングズ
http://www.sunrain-records.com/catalog-3453.html
4年ぶりの流通盤、ソロアルバムとしては実に7年ぶりの作品。高橋健太郎さんの家が取り壊しになる数日前に録音され、ひっそりと眠っていた音源に、田代貴之(bass)、エマーソン北村(key)、見汐麻衣(cho)、そして高橋さんご本人(guitar,etc...)と、ゲストプレイヤーの見事な力添えを得て出来上がった5曲に、ホーム・京都UrBANGUILDでのライブを収録した全6曲入り。アートワークは京都在住の画家・足田メロウ氏。かねてから親交のあるトラックメーカー・FRAGMENT主宰の術ノ穴よりりリースです。


5.Daniel Kwon / Don't Look Now
http://www.sunrain-records.com/catalog-3498.html
東京在住・韓国系アメリカ人SSWによる自主制作盤が入荷。ペンシルヴァニア〜石巻西荻窪とじつに多様な場所で、4トラックのカセットMTRをつかって録音されたというこの作品。なめらかで端正なボーカルと、やさしくてポップなメロディは、カート・べッチャーやエミット・ローズといったソフトロックの偉人たちを彷彿させるのですが、捻じれたコードワークや不思議な響きのコーラス、突如として挟まれる奇妙な展開などの随所に挟まれる突飛でユーモラスな仕掛けは、ただものじゃない感じをビシビシ伝えてきます。Lampや王舟、ceroのメンバーとの交流も深いとのこと、深く頷かされる作品。素晴らしい。


6.danro / Demo
http://www.sunrain-records.com/catalog-3497.html
ミワサチコ+drgn(dj drgn、exミー愛さしみ)によるデュオ"danro"の自主制作デモが入荷。ざくざくしたエレキギターと男気あふれるドラム、2つの楽器から繰り出されるのは、90年代以降のUSオルタナティヴ/インディの美味しいところをぎゅっと凝縮したようなラウドななサウンド。ちょっと屈折したコード感が癖になります。その上を透明で伸びのある女声ボーカルが飛んで行く、その声はセクシュアリティ(コケティッシュだとか、セクシーだとかいう形容)を越えたところにある「声」そのものの魅力をダイレクト伝えていて、ノイジーなギターや激しいドラミングとの相性もばっちり。このバンドのコンセプトは「ポテンシャル・ハードコア・ユニット」というらしいのですが、たしかにここを通じて何処へでも行ける、(リスナーとしても)可能性に満ちた音源だと思います!


7.ジョセフ・アルフ・ポルカ / 空からやってきた緑の三本指
http://www.sunrain-records.com/catalog-3448.html
これは良いバンドに出会いました!最近のUSインディ・バンドっぽいアプローチもありつつ、名コンピ『7586』などに抽出された名古屋アンダーグラウンドの空気を自然とまとっていたり、aotoao(主宰はasunaさん)周辺の脱力かつ鋭角なトイ・ポップにも共通する匂いを感じたり…
この幅の広い音楽性と、自分たちの遊びをエンターテイメントに変えるポップさは、サンレインでもお馴染みのceroシャムキャッツ、とんちレコードやこれレコードのバンド達といった、今が旬の東京シーンとも確実に呼応しているのではないでしょうか。名古屋のみならずいろんな場所でライブをされているので、もうご存知の方もいらっしゃると思うのですが、今後も要注目のバンドですね。


8.王舟 / Thailand
http://www.sunrain-records.com/catalog-2947.html
KIP HANRAHAN、Jim O'Rourke、青柳拓次といった音楽家たちにも連なる、アメリカーナ的な、乾いた祝祭の空気。mmmのフルート、フジワラサトシのギター、oono yuukiのトランペットなど、ホームグラウンドである八丁堀・七針で出会った音楽仲間たちが"王舟"というメロディを増幅させ、インスト曲においても、もちろんボーカル曲においても、瑞々しさと大きなスケールを同時にあたえながら「うた」を鳴り響かせています。これはひとりのSSWの作品であると共に、素晴らしい人選で完璧なまでに編み上げられたプロジェクト・ワークであるとも言えるでしょう。4曲入り525円のCDR作品ですが、何度リピートして聴いても一向に飽きが来ません


9.ゑでぃまぁこん / 残光の蟲
http://www.sunrain-records.com/catalog-3480.html
姫路発・国内アシッドフォークの最高峰=ゑでぃまぁこんからスタジオ録音盤の新作が到着です!!2011年8月から9月にかけて録音された珠玉の4曲。ゑでぃさんとまぁこんさん2人での曲から、楯川・元山・朝倉という鉄壁の布陣で録音された曲まで、あっという間ながら実に濃密な時間。この人たちほどに、音楽そのものを「うたわせる」ことが出来るグループはそうそういないだろうと思います。人気のライブ盤『魚小屋にて喉ならす』と併せてお楽しみください。


10.Shhhhh / Sol de Medianoche
http://www.sunrain-records.com/catalog-3421.html
東高円寺の魔窟・GRASSROOTSを根城に奇想天外な音を放出し続けるDJ Shhhhh。ワールドミュージックへの深い造詣に加えて、電子音楽から室内楽の領域まで自在に闊歩しながら、独自の世界を紡いでゆく奇想天外な想像力/想像力。この素晴らしき音物語の中では、いとも簡単に「?」が「!」に変わります。なんとも奇妙なねじれが心地よい、まさに黒煙系のマージナルMIX。ジャケとの世界観の調和が見事!!


次点 野村和孝 / Arete School of Patternalization
http://www.sunrain-records.com/catalog-3433.html
旭川〜シアトルを繋ぐワールド・スタンダードなSSW・野村和孝によるツアー限定CDRを委託していただきました。ご本人の解説・コード譜・歌詞を同封した限定199枚!!このひとは、ただ「英語だから」という次元を越えて、ギターも歌もあのシアトル周辺のオルタナ・フォークの流れを、表面から水底まで見事に呑みこんで消化しているように思えます。ほんのちょっとの味付けに加えた音響のセンスや、これは絶対アソビだろうー?と分かるのに、結局はちゃんと聴かせてしまう音楽力。素晴らしい。