街の気温差

東京滞在中です。


昨夜は、どのアクトも素晴らしかったです。
FEVERへ行ったのは先々月tera melosが来日したときのイベント「サンカクヤマ」以来。
そのときは音の大きさと廻り込み具合に少々バッドトリップ気味だったのですが、昨夜はそんなこともなく、最近なにかとお世話になっているP-VINEの営業スタッフT氏との開口一番の挨拶は「音良いですよね!」という具合でした。


真打の2バンドはもちろんのこと、個人的には、石橋英子×アチコのステージが印象的でした。
宙吊りになるようなコード感でも、どこまでも安心して付いてゆこうと思えるのは、
二人の演奏力の見事さ、そしてアチコさんの「こえ」の力だなあ、としみじみ感じたのです。


「うた」というものは、先天的に、もって生まれてくる人とそうでない人がいて、
生まれてから必死で獲得したそれもまた、その後天性にしかないエモーショナルさが魅力だと思うのですが(わが身をふりかえると、歳を重ねる過程で悪あがきしながら「うた」を自分のそばに引き寄せてゆくという、この実感のおかげで続けられている)、


アチコさんは間違いなく「うた」と一緒に生まれてきた人だ、と思いました。


石橋英子×アチコの作品は二枚リリースされていて、どちらも間違いなく名作のところ、
今日は、ピアノと唄だけで織り上げられたこっちをお勧めします。レビューは、おそらく吉田さんですね。

石橋英子×アチコ / Lola&soda
http://www.sunrain-records.com/catalog-187.html


ピアノとボーカルのデュオということで、詳しいデータが無ければ駅前の弾き語り?と先入観を持たれてしまいそうだが、この作品は全くの別物。panicsmile石橋のもう一つの側面、鍵盤奏者という面とボーカリスト、アチコ(KAREN)の柔らかくもしっかりとした意志が伝わってくる歌声のコラボレーションが奇跡の映像を映し出す。石橋がフェイバリットに挙げる映画監督、レオス・カラックスポンヌフの恋人、ポーラX他)やラース・フォン・トリアー奇跡の海ダンサー・イン・ザ・ダーク他)の作品からの影響も見られ、群青色、灰色、赤といった色感のアートワークと相まって荒涼としながらも力強く美しい世界。これをピアノ一台とボーカル、というたったの二人で表現し切っているところがハードコア的で潔い。