LIVEHOUSE nanoの店長、土龍くんとはこのところよく話します。
とくに最近の話題は「ルーツ感」について。


京都のライブハウスシーンは伝統的にこの「ルーツ感」について厳しく、
ぼくらが駆け出しのころはよく、
70年代以前の音楽からの影響が感じられないバンドがライブ後、
店長講評で徹底的に説教を受ける、という場面が見受けられました。


いまはそんなことも昔の話、
90's以降の「オルタナティヴ」「J-ROCK」といったキーワードで
括られるような音楽性の若いバンドが増え、
それも、最近の奴らは…とか小馬鹿にするわけにもいかない、
テクニックもグル―ヴ感も(可能性込みで)しっかりあって、
たとえばFUGAZIを知らなくても、
エモーショナルであることには変わりないというような
連中をちょくちょく見るようになりました。


また、時代をもうちょっとさかのぼっても、
東京で出会ったバンドたちには、60年代70年代ではなく、
80年代のNO WAVEをキーワードにした音楽への愛を
きっちり表現する人たちが多かったように思います。


「古い」音楽にあるグル―ヴの出し方、
歌を生かした楽器の鳴らし方が大事だという考え方には
やはり今でも変わりがありませんが、
加えて、自分の奏でようとしている音楽には、どんなものにも
機能的で科学的な「肝」があり、
それを「ルーツ」の中から探し出してくることが絶対的に大事なのだろうと、
最近では思っています。


音の大きさ、上手いや下手、アレンジの「それっぽさ」ではなくて、
いまでは一個のジャンルや系統として名付けらるに至った特色ある音楽、
それ自身を音楽的に成立させる「条件」を探し出さなくてはいけないのだろうなあと。


ただの所感ですみません。

今日のオススメはこれ。
WIREの『Pink Flag』の、日本の21バンドによるカヴァーアルバム。


「ロックでなければ何でもいい」という名言を生んだバンドのデビューアルバムが、
32年の年月を経て生まれ変わった怪作。


ここには断絶と隔絶と、歴史とのコミュニケーションと、
ただいま聴こえてくる刺激的な音楽との対話の成果があります。

V.A. / POST FLAG
http://www.sunrain-records.com/catalog-1219.html