9/1 - 9/15 までのチャート

1.STORYWRITER / vol.6 (ZINE)
http://www.sunrain-records.com/catalog-3388.html
ミュージシャン/メディア/ライブスペース/お客さん、と「音楽」を取り巻くすべての契機に目をやる意欲作。ソウル・フラワー・ユニオンによる被災地出張ライブの模様や、仙台のソンソン弁当箱のインタビューもあり、「いま」音楽はたった今、どうあろうとしているのか、その指針やヒントがちりばめられた一冊だといえるかもしれません。


2.ゑでぃまぁこん / 魚小屋にて喉ならす (LIVE CD-R)
http://www.sunrain-records.com/catalog-3365.html
k.d.japonのやわらかな響きをそっくり盤面に流し込んだような空気感!!ゑでぃさんの歌の素晴らしさはもちろん、まぁこん〜楯川さんのリズム隊のおふたりも、水谷さんのサックス/フルートも、元山さんのスチールギターも、朝倉さんのコーラスも、全部がこんなにも控えめで、かつ絶対的に必然な、あの感じ。ぜひとも体験してください。


3.悪魔の沼 / 沼日和-imaginary 魔ndscape- (MIX CD)
http://www.sunrain-records.com/catalog-3387.html
東京・下北沢MOREで不定期開催されているパーティ名にしてコンピュー魔、A魔NO(a.k.a.ヒゲ・ディスコ)、Dr.NISHI魔RA(DISCOSSESSION)三人のレジデント・クルーによるユニット名でもある「悪魔の沼」。
DOMMUNEにも出演を果たし、これまでに、E魔C魔D、瀧魔憲司、2魔ng (一★狂/国際ボーイズ)、MOOD魔N、Toshi魔-BING-Kaji魔ra、C魔H魔E魔E、沼の家、UJT (魔ン画トロニクス)、C×魔×T、YA魔STA THUGRAW (Pan Pacific Playa)、YO!魔イキー (2much crew)、魔力などなど(以上、オーダーシートからの転載。誰が誰だか分かりませんが…)多彩なゲストが独自の沼を演出してきた超ドープでスロウなパーティユニットによるMIXということで、これはもう心して聴くべし!です。はまりますよ。


4.小池喬 / お風呂の栓 (CD-R)
http://www.sunrain-records.com/catalog-3354.html
名古屋のインディうたものバンド・シラオカより、ボーカル小池くんのソロ作品がこれレコードより。シラオカは、もともと音数の多くない、空気をたっぷりと含んだ「うた」を響かせることを得意としているバンドですが、そのソングライターによるソロ作品もそぎ落とされたアンサンブルが素晴らしい。名古屋の大先輩Gofishと、これレコードの中核をなすバンド・洞の中間にあるような手触り、かつ、歌詞にもアレンジにも時折顔をのぞかせるユーモラスな表情が「小池喬」のオリジナルな人間性を滲ませていて、何度でも聴きたくなる、見事な小品です。
味わい深いジャケットイラストは同じくシラオカのメンバー、石谷くんによるもの。


5.ゆーきゃん / To The Sea (LIVE CD-R)
http://www.sunrain-records.com/catalog-3304.html
2010年〜2011年にかけて、ポータブルレコーダーで何気なく拾われた音の記録。ドアが開閉する音、バーで氷が砕かれる音、ハーシュノイズ、些細な間違い、それらさえも「アリだな」と思える瞬間の詰まったテイクをコンパイルしました。マスタリングはWATER WATER CAMEL田辺玄。スピーカーから流れてくる音の一切があたたかいです。


6.洞 / まぼろし (CD-R)
http://www.sunrain-records.com/catalog-3262.html
深いエコーの森からたち現れる「うた」。洋邦のあたらしい音楽の潮流を踏まえながら、日本語で「自分たちの周囲を歌う」ことを大事にしている彼らの姿勢がぼんやりと浮かび上がってきます。
先輩格のミュージシャンや友人たちと同様に、日々流れる和製エモ/ポストハードコア/インディへの愛情を抱き、また長野ネオンホールで育まれてきたフォークミュージックにもその根を下ろしている―幅広い音楽性とそれを等身大の自分たちへ還元する力をもったバンド「洞」の魅力がぐっと詰まった。11曲入り。これで850円


7.王舟 / Thailand (CD-R)
http://www.sunrain-records.com/catalog-2947.html
冒頭のノイズ混じりのイントロから、何事かが起こるに違いないという予感を抱きながら聴き始めると、その先にはKIP HANRAHAN、Jim O'Rourke、青柳拓次といった音楽家たちにも連なる、アメリカーナ的な、乾いた祝祭の空気が広がっている。
mmmのフルート、フジワラサトシのギター、oono yuukiのトランペットなど、ホームグラウンドである八丁堀・七針で出会った音楽仲間たちが"王舟"というメロディを増幅させ、インスト曲においても、もちろんボーカル曲においても、瑞々しさと大きなスケールを同時にあたえながら「うた」を鳴り響かせています。これはひとりのSSWの作品であると共に、素晴らしい人選で完璧なまでに編み上げられたプロジェクト・ワークであるとも言えるでしょう。
4曲入り525円のCDR作品ですが、何度リピートして聴いても一向に飽きが来ません、と同時に早くも次回作が待ち遠しくて仕方なくなっています。トクマルシューゴ君が頭角を現し出したときのようなワクワク感。「王舟」ぜひチェックしてください!


8.DJ DISCHARGE / dream (MIX CD)
http://www.sunrain-records.com/catalog-3394.html
DJ DISCHARGE、久々の入荷は噂の傑作。2009年 GRASSROOTSでのレジデントパーティ「細道」でのライブMIX。これぞDJ DICHARGE!!と歓喜しないわけにはいかない職人級ディープ・ハウス。
あたかみと厚みのある低音+クリアーな中高域+スムースな繋ぎは、愛用のヴィンテージのロータリー・フェーダ―・ミキサー「UREI」とソウジロウ氏の相性の良さだからこそなせる技。さらには盟友BATH-TUB OFFENDERSによるマスタリングを経て、まさに至福の音がここに。アートワークはもちろんソウジロウ氏ご本人、盤面のデザインも一枚ごとに違うのがニクイです。


9.mmm / mmm at 西ヶ方小学校 (LIVE CD-R)
http://www.sunrain-records.com/catalog-3322.html
2011年の1月24日、高知県四万十市立西ヶ方小学校を訪れたmmmさんと、生徒たちによる「うた」を通じた交流の記録。
先生が生徒に挨拶させるところから始まり、「東京から来ました」というmmmのことばに涌く子供たち、うたの緊張がだんだんほぐれてゆく時間の流れ、子供たちとmmmとの合同演奏(説明と練習も収録。これが微笑ましくて感動!)、そして最後のお礼まで、うたを通じた「邂逅」ということばがぴったりな45分間です。はじめに先生が生徒に呼びかける「音楽をたのしみましょうね」ということばに、あらためて何度も頷くことまちがいなし。おすすめ!!


10.森ゆに / 夜をくぐる (CD)
http://www.sunrain-records.com/catalog-3300.html
2009年の「夏は来る」以来、2年ぶりのセカンドアルバムは、全曲クラシック・ピアノ一台での弾き語り。エンジニアにWATER WATER CAMELの田辺玄を迎え、山梨県でレコーディングされた8曲は、静けさも、レンジの広い豊かな響きも、余すことなくコンパクトディスクの中にすーっとおさまった、そんな印象を受けます。曲が始まるその瞬間の呼吸とピアノのタッチが、あまりにもさりげなく、それでいて力強く聴く者の耳を惹きつける。心地よさと想像力を掻き立てながら流れてゆく曲を聴くにつけ、楽器も、うたも、そしてエンジニアも、すべてがその「役割」を果たしているのだと、しみじみとした感動を覚えずにはいられません。
ちなみに、1曲目は金延幸子さんのカヴァー。当然のことながら素晴らしいです。


次点 Alfred Beach Sandal / One Day Calypso
http://www.sunrain-records.com/catalog-3312.html
昨年リリースの、鳥獣虫魚からのCDRがいまだロングセラーを続けるなかでの正規盤。トクマルシューゴくんが2010年のベストに挙げるほどの軽妙な作曲術は一樂誉志幸(FRATENN)やMC.sirafuといったゲスト陣によってさらにカラフルに彩られ、歌の存在感もぐっと増しています。5曲目「Finally, Summer has come」は自らのテーマとも呼んで差支えないでしょう!甘いメロディがぐっと胸を突く名曲。2011年の夏、必携盤となることは間違いなし、さらにその先何年も大事にしておきたい、魔法の作品です。


ZINEやコンピなどには、一つのバンド、ひとりのアーティストが作った作品とはまた違った「魂の籠り方」があります。今回のチャートインのなかでは、1位のSTORYWRITER / vol.6 (ZINE)、3位の悪魔の沼 / 沼日和-imaginary 魔ndscape- (トリオ制作のMIX CD)。多元的・多面的な制作物でなくては表現しえない「どこからめくっても面白い」「でも一個の作品として筋が通ってる」感じがいいんですよね!




まだ発売したばかりで、チャートインしていませんが、これもまた、そういう多元的なつくり、多元的な思いの籠ったアルバムです。


「noumi yoshie band / life」
http://www.sunrain-records.com/catalog-3414.html
藤井よしえガロリンズ)のラストアルバム、そして友人たちによって引き継がれたトリビュート作。

がんを宣告されたよしえさんが、2010年1月、入院中の病室で制作を決意したというアルバム。本人が曲を書いてほしいと選んだミュージシャンたちに楽曲を提供してもらい、それをnoumi yoshie チーム(松雪弘(蝶丁・noumi yoshie band)、加藤久輝(moth))でアレンジするというコンセプトで制作されました。
レコーディング途中で他界してしまった彼女の意志を友人たちが受け継ぎ、歌入れまでたどり着かなかった曲はボーカルを引き継ぎ、アレンジを練り、録音を重ねた、幾重にも重なる"life"。娘さんとの共演曲もあります。
作曲者それぞれの個性と、歌い手(になる筈だった曲も含め)への思いが色濃く表れた、バラエティ豊かで親密な12曲は、藤井よしえという女性を知る人にはもちろん、そうでない方にもぜひ聴いて欲しいです。生命は音楽となって、ずっと鳴り響き続ける。そう思わせてくれる一枚。




表現者同士にはシンパシーや連帯感が生まれやすいとして、そういった「つくる」人のあいだにある輪や網目が、そのまま広がってゆくように、聴き手に伝わってゆけばいいと、しばしば思うんですが、コンピレーション、あるいはZINEの魅力は、たとえばtwitterの普及などのおかげで、以前よりもずっと拡散しやすくなっていると思います。「チームプレー」というのとはちょっと違う、めいめいの個性がそのままに作られ、広がってゆく、そういう現象を観るのは痛快であります。まだまだ面白い、素敵なコンピやZINEが出てきて欲しい、出てくるに違いない、と思う今日この頃でした。