9月のチャート

 10月に入ってしばらく経ってしまいましたが、先月のチャートです。


 乍東十四雄のワンコインシングルがすばらしいなーと思ったら、ぱたぱたとオーダーを頂きました。シャムキャッツや、もう扱っていませんがオワリカラも作っていましたし、この「ワンコインのプレスCD、紙ジャケ」というフォーマットは気軽な割に本気(ちょっと変な表現ですみません)で、いいなあと思うのです。


 先週、とんちレコードさん主催のAlfred Beach Sandalリリースパーティ前夜祭(「20人のアルフレッド・ビーチサンダル」という名前でした)に出演させていただいたのですが、他レーベル(鳥獣虫魚)からリリースしたアーティストを祝うという越境感というか、絶妙にゆるい(でもけして身内ノリではない)コミュニティのセンスというか、東京インディ・シーンの面白いところにある濃密な空気ををひしひしと感じさせられて、非常に魅力を覚えました。
 その視点からあらためてチャートを見ると、BLACK SMOKER、これレコード、HALF YOGURT、JUNK Labなど、ジャンルを越え、殻を作ることなく、たえず外と繋がってゆくような面白い動きを見せているレーベルが、いま、たくさんいるということにあらためて気付かされます。ニッポンのインディ/アンダーグラウンド、面白い!


動画は9月3日【スキマアワー】でのAlfred Beach Sandal with 伴瀬朝彦 による演奏。曲は「Night Bazaar」です。



1.STORYWRITER / vol.6
http://www.sunrain-records.com/catalog-3388.html
ALTERNATIVE-ZINE「STORYWRITER」第6号。B5判/70ページと一挙にボリュームアップで到着。ミュージシャン/メディア/ライブスペース/お客さん、と「音楽」を取り巻くすべての契機に目をやる意欲作。ソウル・フラワー・ユニオンによる被災地出張ライブの模様や、仙台のソンソン弁当箱のインタビューもあり、「いま」音楽はたった今、どうあろうとしているのか、その指針やヒントがちりばめられた一冊だといえるかもしれません。


2.乍東十四雄 / たまいれ
http://www.sunrain-records.com/catalog-3428.html
乍東十四雄(さとうとしお)自主での3枚目となる限定シングル入荷。枚数を重ねるにつれて、よりバンドの持ち味がどんどん研ぎ澄まされていっている気がします。軽やかなリズム、そして甘酸っぱい海辺の空気をいっぱいに吸い込んだメロディ。高梨氏の脱力したボーカルと、メンバーが皆でとる幾層にも重なったコーラスが、ほんとにいい味を出しています。ライブメンバーを入れてのハッピーなヴァイヴスに溢れたステージにも要注目ですが、それにしてもこの3曲、すばらしい。


3.ゑでぃまぁこん / 魚小屋にて喉ならす
http://www.sunrain-records.com/catalog-3365.html
ゑでぃまぁこん、2011年7月名古屋k.d.japonでのライブを収録した新作CD-Rが入荷!!k.d.japonのやわらかな響きをそっくり盤面に流し込んだような空気感!!ゑでぃさんの歌の素晴らしさはもちろん、まぁこん〜楯川さんのリズム隊のおふたりも、水谷さんのサックス/フルートも、元山さんのスチールギターも、朝倉さんのコーラスも、全部がこんなにも控えめで、かつ絶対的に必然な、あの感じ。ぜひとも体験してください。


4.小池喬 / お風呂の栓
http://www.sunrain-records.com/catalog-3354.html
名古屋のインディうたものバンド・シラオカより、ボーカル小池くんのソロ作品がこれレコードより。シラオカは、もともと音数の多くない、空気をたっぷりと含んだ「うた」を響かせることを得意としているバンドですが、そのソングライターによるソロ作品もそぎ落とされたアンサンブルが素晴らしい。名古屋の大先輩Gofishと、これレコードの中核をなすバンド・洞の中間にあるような手触り、かつ、歌詞にもアレンジにも時折顔をのぞかせるユーモラスな表情が「小池喬」のオリジナルな人間性を滲ませていて、何度でも聴きたくなる、見事な小品です。味わい深いジャケットイラストは同じくシラオカのメンバー、石谷くんによるもの。


5.noumi yoshie band / life
http://www.sunrain-records.com/catalog-3414.html
藤井よしえガロリンズ)のラストアルバム、そして友人たちによって引き継がれたトリビュート作。がんを宣告されたよしえさんが、2010年1月、入院中の病室で制作を決意したというアルバム。本人が曲を書いてほしいと選んだミュージシャンたちに楽曲を提供してもらい、それをnoumi yoshie チーム(松雪弘(蝶丁・noumi yoshie band)、加藤久輝(moth))でアレンジするというコンセプトで制作されました。レコーディング途中で他界してしまった彼女の意志を友人たちが受け継ぎ、歌入れまでたどり着かなかった曲はボーカルを引き継ぎ、アレンジを練り、録音を重ねた、幾重にも重なる"life"。娘さんとの共演曲もあります。
作曲者それぞれの個性と、歌い手(になる筈だった曲も含め)への思いが色濃く表れた、バラエティ豊かで親密な12曲は、藤井よしえという女性を知る人にはもちろん、そうでない方にもぜひ聴いて欲しいです。生命は音楽となって、ずっと鳴り響き続ける。そう思わせてくれる一枚。


6.悪魔の沼 / 沼日和-imaginary 魔ndscape-
http://www.sunrain-records.com/catalog-3387.html
沼で噂の"悪魔の沼"(コンピュー魔、A魔NO、Dr.NISHI魔RA)による待望のMIXCDの登場!!東京・下北沢MOREで不定期開催されているパーティ名にしてコンピュー魔、A魔NO(a.k.a.ヒゲ・ディスコ)、Dr.NISHI魔RA(DISCOSSESSION)三人のレジデント・クルーによるユニット名でもある「悪魔の沼」。
DOMMUNEにも出演を果たし、これまでに、E魔C魔D、瀧魔憲司、2魔ng (一★狂/国際ボーイズ)、MOOD魔N、Toshi魔-BING-Kaji魔ra、C魔H魔E魔E、沼の家、UJT (魔ン画トロニクス)、C×魔×T、YA魔STA THUGRAW (Pan Pacific Playa)、YO!魔イキー (2much crew)、魔力などなど(以上、オーダーシートからの転載。誰が誰だか分かりませんが…)多彩なゲストが独自の沼を演出してきた超ドープでスロウなパーティユニットによるMIXということで、これはもう心して聴くべし!です。はまりますよ。


7Alfred Beach Sandal / One Day Calypso
http://www.sunrain-records.com/catalog-3312.html
ビーサン、これがファースト?かと驚かされるほどに鬼才が炸裂するデビューアルバム!!昨年リリースの、鳥獣虫魚からのCDRがいまだロングセラーを続けるなかでの正規盤。トクマルシューゴくんが2010年のベストに挙げるほどの軽妙な作曲術は一樂誉志幸(FRATENN)やMC.sirafuといったゲスト陣によってさらにカラフルに彩られ、歌の存在感もぐっと増しています。5曲目「Finally, Summer has come」は自らのテーマとも呼んで差支えないでしょう!甘いメロディがぐっと胸を突く名曲。2011年の夏、必携盤となることは間違いなし、さらにその先何年も大事にしておきたい、魔法の作品です。


8.王舟 / Thailand
http://www.sunrain-records.com/catalog-2947.html
冒頭のノイズ混じりのイントロから、何事かが起こるに違いないという予感を抱きながら聴き始めると、その先にはKIP HANRAHAN、Jim O'Rourke、青柳拓次といった音楽家たちにも連なる、アメリカーナ的な、乾いた祝祭の空気が広がっている。
mmmのフルート、フジワラサトシのギター、oono yuukiのトランペットなど、ホームグラウンドである八丁堀・七針で出会った音楽仲間たちが"王舟"というメロディを増幅させ、インスト曲においても、もちろんボーカル曲においても、瑞々しさと大きなスケールを同時にあたえながら「うた」を鳴り響かせています。これはひとりのSSWの作品であると共に、素晴らしい人選で完璧なまでに編み上げられたプロジェクト・ワークであるとも言えるでしょう。
4曲入り525円のCDR作品ですが、何度リピートして聴いても一向に飽きが来ません、と同時に早くも次回作が待ち遠しくて仕方なくなっています。トクマルシューゴ君が頭角を現し出したときのようなワクワク感。「王舟」ぜひチェックしてください!


9.野村和孝 / Arete School of Patternalization
http://www.sunrain-records.com/catalog-3433.html
旭川〜シアトルを繋ぐワールド・スタンダードなSSW・野村和孝によるツアー限定CDRを委託していただきました。ご本人の解説・コード譜・歌詞を同封した限定199枚!!このひとは、ただ「英語だから」という次元を越えて、ギターも歌もあのシアトル周辺のオルタナ・フォークの流れを、表面から水底まで見事に呑みこんで消化しているように思えます。ほんのちょっとの味付けに加えた音響のセンスや、これは絶対アソビだろうー?と分かるのに、結局はちゃんと聴かせてしまう音楽力。素晴らしい。


10.根本敬 / 愛駅
http://www.sunrain-records.com/catalog-3367.html
湯浅学船橋英雄の両氏とともに「名盤解放同盟」を結んでも入る特殊漫画家・根本敬さんが、なんとBLACK SMOKER からMIXCDを投下。和モノ〜コリアン・ロック/レアグルーヴを軸にした流れの中に、そしてTVやラジオから抽出したのアナウンスやインタビュー、効果音などをちりばめた、超オリジナルなMIX。ファニーなのにどこかいなせで、なぜかホロリとしたりもしながら、病みつきになること間違いなし。
サンレインでも人気の、ECD〜永田一直〜MU-STARS等の和モノラインナップ、そしてyudayajazzやL?K?Oがぶっ放す次元脱臼MIX、そのどちらにも通じて、何処へでも行ける(そして戻ってこれない!)この「根本ワールド」とくとご堪能あれ!!