チャート更新 2012年3月

3月も面白いタイトルがいっぱい入ってきましたー。新しくチャートインしたものは6タイトル。今回はレビューの転載に加えて、(わりとどうでもいい感じの)ひと言を添えてみています。お時間のあるときにそれぞれチェックしてみてください。


1.片想い / 踊る理由

片岡シン(vocal)+MC.sirafu(vocal,guitar)+issy(piano)+伴瀬朝彦(bass)+大河原明子(horn)+遠藤里美(sax)­+あだち麗三郎(drums)+オラリー(vocal,tambourine)からなるオンリーワンな楽団、片想い。メロウソウル、ディスコ、AOR色も滲む日本語ポップのビッグ・チューンがシングルカット!盟友・ceroも全面バックアップで、ぬくもりと多幸感がもう盤面に乗りきらずに零れ落ちているのが見えてきそうです!カップリングの「センチメンタル☆ジントーヨー」ももちろんのことながら名曲!!

多めに仕入れたのですが、あっという間に売り切れてしまいました。…まあそうだろうなあと思いつつ、ネットオークションですでに値段が跳ね上がっているのを目撃すると、ちょっと悲しくもなります・・・

YOUTUBEにはMVの他、ライブ映像も上がっているので、こちらでお楽しみください!


2.うつくしきひかり / S.T.
http://www.sunrain-records.com/catalog-3619.html

ピアノ+スティールパン、そして歌。男女ふたり組ユニット「うつくしきひかり」、やわらかであざやかなデビュー盤。旧・グッゲンハイム邸での録音、エンジニアは西川文章氏、スティールパンとピアノによるこのアンサンブルは、まさしく「発明」だと思います。迷いなく、いそぐことなくまっすぐ歩いてくるナカガワさんの歌もすばらしいの一言。

このアルバムに関連して、レーベルオーナーの小田さんがご自身のサイトで綴られたテキスト。お時間のあるときに読んでみてください。

http://mapup.net/wp/2012/03/sitchou/

サンレインでも「試聴用音源」を上げる、ということを何気なくやっていたのですが、たしかに、と身につまされることも多々。ウェブ試聴が出会いの機会であることもまた胸を張って言えるのは確かながらも、やっぱり「音」については、制作者(アーティストとレーベル)の意図に沿ったMVやSOUNDCLOUDMYSPACEを極力使うべきで、そのぶん、ぼくは出来るだけ誠実な紹介文を綴らなくてはなーと、襟を正しました。


3.kyooo / 鳥が歌う
http://www.sunrain-records.com/catalog-3579.html

同じく鳥獣虫魚のSSW・フジワラサトシのアンサンブルにバイオリンとサックスで参加したり、即興と室内楽をテーマにした王舟の実験的なアンサンブルにサックスで参加したりもしているkyoooさんによる初の流通盤。全編を通じて落ち着いたトーンですが、ときに儚く、ときに無邪気に響く歌声が、サッドな感触だったりリラクシンな雰囲気だったり、曲にあわせてに少しずつ色合いを変えてゆくさまが非常に魅力的です。
エンジニアは、たゆたうの『糸波』も手掛けた大城真氏。この小さいけれど豊かな声、こんなふうに表情やニュアンスをそのまま「音源」に閉じ込めるのは、非常に難しかったのではないかと思います。虹釜太郎さんが「大城真さんはテン年代以降もっとも重要なアーティストになる」と予言した人の耳にはやはり脱帽せざるを得ません。
また制作にはフジワラサトシが全面協力、NOb(ケイドロック)oono yuuki、ナガヤマタカオや宮本善太郎といった若き音楽家たちのサポートも、ツボを得て(あるいは絶妙な外しで)楽曲をより豊かに彩っています。
夜の深い時間、あるいは明け方、耳を澄まして聴けば聴くほどにその魅力が増してくるに違いない、小さな名盤だと思います!

ふた月続けての3位。興味深いのは、ご注文の履歴を観ていると、びっくりするくらいに、日本全国、男性のかたからも女性のかたからもオーダーをいただいているのです(年齢までは分からないのですが...)。大きさや派手さではなくて、シンプルで飾らない、あるがままの声こそが、遠くまで届くという証なのでしょうか。引き続きオススメ。


4,永田一直 / 永田一直の世界 DJ MIXシリーズ Vol.13 〜和ラダイスガラージ篇〜
http://www.sunrain-records.com/catalog-3569.html

永田一直の大傑作シリーズ、2012年のリリースは人気国産ダンスミュージックパーティー「和ラダイスガラージ」から生まれた、最新ミックスシリーズ第13弾!!

サンレインで扱っているMIXの傾向としては、和モノが人気です。そのなかでも、なかでも高円寺時代から色々とお世話になっている(インストアイベントもやっていただいたことがあります)永田さんの本シリーズは、13作どれも豊かな個性と切り口で、ぜひコンプリートを目指していただきたい連作。MIXCD文化の入門としても最適ですよ!
ちなみに、商品レビューのテキストは、永田さんご自身の、トラックリスト替わりのヒント。これで曲が分かった人はすごいですが、分からなくてもなんとなく雰囲気伝わるでしょう?


5.欠伸ACBIS / 1st DEMO
http://www.sunrain-records.com/catalog-3623.html

ゆーきゃん/スーパーノア/LLama/OUTATBERO/ときめき☆ジャンボジャンボのメンバーからなる5人組の初音源。
ベーシックトラックを一発録音、バンドのダイナミズムを大事にしながら、いろいろ実験を潜ませてあります。60,70,80,90's、それぞれの時代のエッセンスをごちゃまぜにして漉し取ったような古典的かつレアな感触の3曲(シグナレスのセルフカヴァー含)。廃物利用のプラケース再生・手塗りのジャケットはすこしづつ違ったデザイン。生産に時間がかかってしまうので、あるときに買っておいてください。

スプレーで頭痛くしながら作っています。いまのところライブ会場以外ではサンレインとJETSETのみの取り扱い。通販だと選んでいただけないのが残念でもあるんですが、ガチャガチャの気分で買っていただけると幸いです。


6.よしむらひらく / 2011
http://www.sunrain-records.com/catalog-3523.html

象徴的なタイトル、震災後に生まれた5編の独白。ドラムに岸田佳也、ピアノとコーラスにアラカキヒロコを迎えた他はすべて一人で手掛けた、とてもパーソナルでストイックなCDR作品。定評あるソングライティングのセンスも今回はとくにエモーショナル、無駄のないアレンジも素晴らしく、でも最後はやっぱりこの「声」の力だな、と。

3月で生産終了となったこのCD-Rですが、ギリギリ3月30日に最後のオーダーをしました(欲張って多めに)。近日中に再入荷があると思いますので、お買い逃しの内容にお願いしますね。


7.mmm / ほーひ
http://www.sunrain-records.com/catalog-3578.html

前作『パヌー』に引き続き、下田温泉(ドラム)、千葉広樹(ベース)、宇波拓(エンジニア、ギター他)を基本メンバーにして、POPOから江崎將史さんと喜多村朋太さん、とんちレコードからはMC. sirafu & 伴瀬朝彦のお二人、そして青木タイセイさんに鳥獣虫魚の柱谷さんと、気のおけない仲間たちに囲まれて作ったセカンドアルバム。フレンドリーで、茶目っ気がいっぱいな空気がそのままパッケージされています。
猫が日向ぼっこしているような、といいますか、あたたかくてやわらかい声の魅力もますます活かされており、ときおり差し挟まれるシリアスな表情にハッとしたり、やんちゃな楽曲がフックになったりしながら、最後まで一気に聴ける一枚。

ロングセラー中。特典のCD-Rも好評で、嬉しいです。サンレイン独自で(最近はJETSETと共同が多いですが)作る特典は、特典というよりも、ただ単純に「せっかく作品が出るんだから、なんかやりましょうか?」「面白そう!やりましょう!」みたいなノリで生まれてくる遊びだったりするので、結局は近しいアーティストとの間でしかできないのですが、毎回音源やインタビューが上がってくるたびに、やっぱりこの人たち面白いなあ―と、再確認。


8.ホライズン山下宅配便 / 期待
http://www.sunrain-records.com/catalog-3610.html

前作「Hoca」で人気を得、踊り歌い続けてきた「期待」を多数のゲストミュージシャンを迎えて新録。ホーン隊12名、コーラス隊30名というボリューム。対照的に、4人だけのタイトな演奏で洗練されたグルーヴを聴かせる「大恋愛」、チェロ、クラリネットオーボエ、トランペット、トロンボーン、チューバによる交響曲的アンサンブル、さらにサンプリングなど、様々な技巧がちりばめられた意欲作「ガラスの階段」、どれも味わいの違う3曲。 ジャケットイラスト小田島等、デザイン島田陽介、エンジニアには松石ゲル、PVをvideotapemusicが編集、最強のバックアップによる作品となった。(レーベルインフォより転載)

「遊び」や「喜び」がスコアとサウンドの隅々まで通った音楽、といえば、このバンドをはじめとするとんちレコードの面々にかなう人たちは、そうそういないんじゃないでしょうか。このPVを観てるだけで、心がすっとするんですよねー。


9.NRQ / のーまんずらんど
http://www.sunrain-records.com/catalog-3603.html

吉田悠樹(二胡マンドリン) 、牧野琢磨(エレクトリック・ギター)、中尾勘二(ドラム、アルト・サックス、トロンボーンクラリネット) 、服部将典(コントラバス)からなる4人組のセカンド。ゲストにはMC Siraf(スティールパン/トランペット)、mmm(ヴォーカル/フルート)と、完璧すぎる布陣で練り上げられた、無駄のない、気負いのない、非常に瀟洒で風通しの良い一枚です。岩田江さんの名曲「うぐいす」の名カヴァー、mmmが歌うヴォーカル曲「ノー・マンズ・ランド/アイ・ワズ・セッド」など見事なフックを交えてあっという間の12曲。題字/ライナーノーツは五所純子さん、ジャケット写真は坂本慎太郎ソロ作を撮った写真家、塩田正幸さん。

ごめんなさい!うっかりバックオーダーが遅れてしまったため、目下売り切れております...近日入荷予定ですので、しばらくお待ちくださいませ。

これは2011年3月30日に高円寺の無力無善寺で行われたライブの模様。MC.sirafuがスティールパンで参加されています。素晴らしい!!


10.(((さらうんど))) / S.T.
http://www.sunrain-records.com/catalog-3629.html

鴨田潤(イルリメ)×Traks Boysによるシティ・ポップ・ユニットのデビュー盤!!デビュー曲「サマータイマー」から、高城晶平(cero)と共作した「タイムリープでつかまえて」、佐野元春「ジュジュ」のカヴァーなど全10曲。ソングライティングの"キレ"も、トラックメイクも、カシーフ(Stringsburn)君のギターも、アチコ(Ropes)さんのコーラスも、お見事としか言いようのない、朗々とした2010年代のシティポップがここに。初回盤特典にはmp3ダウンロードコード付き。アルバム収録曲の別テイク2曲と、メンバー3人によるアルバム全曲解説のラジオ(50分超!)が楽しめます。

個人的に「ラジオ」というものが好きでして、とくにプロのパーソナリティがいない、海賊版みたいのとか、ラジオCDRとか、ひとがしゃべっているのを聴くと安心します。(((さらうんど)))の特典mp3のラジオも、この人たちの人柄がよく出ていて楽しいですよ。本編の良さに関しては言わずもがな!


次点は、
池永正二 / Dubbing
http://www.sunrain-records.com/catalog-3616.html
仕様はMIXですが、あら恋の別作品、という気分で聴いても楽しめますよ。今月は2曲で30分越えのEP『今日』もリリースということで、こちらも期待高まります!