チャート更新 2012年5月

4月はバタバタして飛ばしてしまいました(ごめんなさい)ので、2か月ぶりの解説となります。
今月は新譜/新入荷作品がたくさんチャートイン。さっそく見ていきましょう。


1.WATER WATER CAMEL / おんなのこがわらう時
http://www.sunrain-records.com/catalog-3734.html

去年『分室』が年間チャート1位となるほどの売れ行きをみせたWATER WATER CAMELが、待望の全国流通盤となる4枚目のアルバムをリリース。大手レコードショップでも大展開されていたであろうに、ウチで買ってくださった方、本当に感謝です。内容の素晴らしさはあちこちで話しすぎた感もあり、このオーソドックスでスタンダードなポップ・アルバムをいまさらコトバで補完する必要もないかとも思いますので、一点だけ。特典の森ゆにさんによるカヴァーCD-Rは、引き続き付きます。初回限定にしておくのはもったいないクオリティですので・・・ぜひお求めください。

2.洞 / 発見
http://www.sunrain-records.com/catalog-3735.html

『山と部屋』『まぼろし』と、自身が主宰する「これレコード」から2枚のリリースを経てのプレス盤フル・アルバム。ついに、という感がありますが、手作り&ロウファイ感あふれるCD-Rの世界から、ぐっと霧が晴れたような、それいて「ベッドルーム・ポップス」の親密でファンタジックな空気は残したままの、まさに洞を「発見」する一枚です。こちらも特典(シャムキャッツ夏目君/ゆーきゃん/metoba traffic参加のカヴァー&リミックスCDR)継続配布中。それにしても、長野は歌心のあるアーティストが多いなあ。どんな秘密があるのか、知りたいです。



3.Turntable Films / Yellow Yesterday
http://www.sunrain-records.com/catalog-3689.html

京都のオルタナ・カントリー・グループによるフル・アルバム。楽曲の良さは同時代のバンドのなかでも屈指なのではないでしょうか。グッドメロディ、アイディアにも富み、コーラスワークまで含めて実に豊潤なアレンジ、去年から会うたびに「アルバム、まだなん?」「まだやねん...」という会話を交わしていましたが、まさに時間をかけて丁寧に作ったからこそ、の一枚。特典は(特典の話ばかりですみません)シラオカ小池君とボーカル井上君による相互カヴァー、ゆーきゃんもおまけで付いたCD-R。

4.BIOMAN / MISSANGA
http://www.sunrain-records.com/catalog-3742.html

neco眠る/DJ/農家として多方面で活躍中のBIOMANがシンガー・ソング・ライターとして発表した自主制作アルバム。兄であるOORUTAICHI君にも通じる、あの底抜けに明るく、国籍不明なサイケデリックな歌心が、この人の血にも流れていないわけはないのですが、お兄さんよりさらにどっしりと据えられたフォークネスと、天然素材電子音響が響き合うサウンドはまさにBIOMANの専売特許だなあ思います。ひとことに歌と言っても、それぞれの歌がいろんな気配を湛えているので、聴く側の好みも別れがちなのですが、この作品は全方位に向けてオススメできる無農薬栽培。



5.DELTAS / √DL_TS 2
http://www.sunrain-records.com/catalog-3741.html

福岡在住のデュオによる自主制作盤。なんの予備知識もなく聴いたのですが、びっくりしました。凶暴なインダストリアル/ノイズが吹き荒れるかと思えば、キラキラとひとつひとつの音が粒になって輝くようなエレクトロ・シューゲイズまで。こういうひとたちがときどき突然変異のように現れてくる福岡シーンはやっぱり面白いなーと再確認。これから東京でも積極的に活動してゆくそうですので、みなさん要注目ですよ。

6.キツネの嫁入り / 俯瞰せよ、月曜日
http://www.sunrain-records.com/catalog-3736.html

ギューンカセットから2枚目のリリースとなるフルアルバム。長谷川健一さんをして「アコースティック楽器でグランジをやっているかのよう」と評されていますが、楽曲の尖り具合が生楽器のアレンジによって絶妙な手触りや質感を獲得していて、非常にかっこいいアンサンブルになっています。歌詞に対するこだわりも特筆すべき点、やはり彼らはパンクバンドなんだなあと聴き返すたびに思います。特典はインタビュー小冊子。



7.王舟 / Thailand
http://www.sunrain-records.com/catalog-2947.html

サンレイン史上、1、2を争うロングセラーアイテムとなるCD-Rが久々にチャートイン。鳥獣虫魚からのセカンドとなるこのCD-Rでは、現在のバンドセットでのライブの方向性の礎となっている、アメリカーナやオルタナ・カントリーをベースにした豊饒でダイナミックなアンサンブルを味わえます。それにしてもこの人の声は天から恵まれた、としか言いようがないですね。現在欠品につきオーダー中ですが、はたして再入荷はあるのか...

8.ホライズン山下宅配便 / りぼん
http://www.sunrain-records.com/catalog-3754.html

とんちレコードの中核を担う楽隊の2012年リリース・フルアルバムは、同じく東京の良心とも言うべきcompare notesから。謎多きパーティ・バンドとして語られることの多い彼らですが(たしかに2月のシングル『期待』はその通りだった)、この最新作ではホライズン山下宅配便流のサイケデリックといいますか、プログレ室内楽カンタベリー。ジャーマンロックなども全部ひっくるめて渋みを出しつつなおかつ激烈にポップ!という唯我独尊なサウンドを大展開。や、天才です。ほんとに。

9.ゆーきゃん / ロータリー・ソングズ
http://www.sunrain-records.com/catalog-3453.html

昨年10月リリースのミニアルバム。他にあんまり買うところがないからか(泣)、管理人から直接買おうと思ってくださるからか、コンスタントに売れています。ありがたいことです。エマーソン北村、田代貴之、高橋健太郎、見汐麻衣(埋火)というすばらしいゲストのさりげなくも良い仕事が、歌にまろやかさを与えてくれています。ジャケットはタテタカコさんとのコラボなどでも知られる京都の画家・足田メロウさん。



10.V.A. / TAC-HATS CD
http://www.sunrain-records.com/catalog-3729.html

北九州のライブハウス、黒崎マーカスがキュレーションしたコンピレーション。売り上げは全額、東日本大震災の復興支援の為に寄付されます。店長の村上さんが「楽曲重視でセレクト、捨て曲なし。」とおっしゃっていましたが、どの曲もポップに突き抜けた、かつどこか男気(繊細なうたものであっても、さらには女性アーティストも!)を感じさせる、じつに北九州らしいオムニバスになりました。おすすめです!

次点 マコメロジー / マ コメンタリー
http://www.sunrain-records.com/catalog-3696.html

鳥獣虫魚からリリースの二人組。イノセンス、アーティスティックなたたずまい、ほんのりとした憂い、それらがふたりの歌とギターの網目のなかにすっと入りこんでいて、聴いていると、ときに安堵をおぼえ、ときに胸をかきむしられそうになる。ドラマチックな演出がない分、うたとことばと楽器が放つ「情感」がダイレクトに伝わるのでしょうね。